(このページは、楽団うちの大学さんのサイトの一部をお借りして掲載しています)
合唱したよね。「いざ起て戦人よ」「永訣の朝」
「なごり雪」と呼ぶにはやさしすぎる季節外れの大雪が降った3月の真ん中。そんな雪もあわせたようにひとやすみの週末、新潟市で むれせん(おぼえてる?おとなり合唱部の1コ上の先輩)が所属する合唱団のコンサートに行ってきました。新潟市内は、まったく雪が無ーい!
演奏会のプログラム/当日はホワイトデーということで、素敵なプログラムですね♪
むれせんとは昨年10月の公先生還暦祝いで、約15年ぶりに再会しました。昨年末にはもりおか先輩のコンサートを一緒に観に行き(何気に坂中三世代集合でした)、その時にいただいたコンサートの情報。東日本では極端に少ない男声合唱の演奏会。私も大学でグリー(男声合唱)をかじっていたので、久しぶりに男声サウンドの魅力を生で聴けるとあって ずっと待ち遠しくしていた春3月。想像通り、いやそれ以上に迫力に満ちた、ハイレベルな演奏会でした。(いつも交通手段がらみでゆっくりできないのだけどね)
そんなことで、今回は「合唱」について、書き散らかしてみようと思います。
合唱、したよね。おぼえてるかな?吹奏楽部のおとなりは合唱部。そんな縁で男子はNHKや定演での混声合唱のお手伝いは定番だったのだけど、吹奏楽部でも何かと歌ったよね。マーチングの基礎練では校歌で外周回ったり、パート練習前のウォーミングアップで音域発声や通称「いざたて」(=いざ起て戦人よ)を合唱したり(部内でもしっかり4つのパートに分かれてたよね)、さらに高1の定演では合唱部に混ざって宮沢賢治作詩「永訣の朝」を歌いました。いずれもネットからの拾い物の動画と歌詞ですが、ちょっと聴いたり読んだりしてみてくださいな。
いざ起(た)て戦人よ YouTube
藤井泰一郎作詞(訳詞) ジェイムス・マクグラナハン作曲
いざ起(た)て戦人よ 御旗に続け
雄雄しく進みて 遅るな徒(あだ)に
歌いて進めよ
歌声合わせて 潮の如くに
正義の御神は 我等の護り
忘るな功(いさお)し 我等の父祖の
続けよ同胞(はらから) 護れこの地を
歌いて進めよ
歌声合わせて 潮の如くに
正義の御神は 我等の護り
思い出したりするかな?
部活で先輩に「いざたてやります」とか言われて、「いざたて?いざよこ?」みたいに最初はまったく「?」の曲だったのだけど、結構有名な曲ですね。日本語訳で「立て」が「起て」だったり、「守り」を「護り」としたり、軍歌?戦?の曲のようだけれども「御神」とあったりするから、十字軍とか聖戦とかそんなところ?よくわからないけど「いざたて」、合唱していた方と不意のきっかけで歌うことがあったり、仕事で手強い取引先へ向かう車内で一人大声で歌ったり、私にとってはとても勇気付けられる曲「いざたて」です。曲の由来、今度じっくり調べてみようと思います。
永訣の朝 YouTube
宮沢賢治作詩 鈴木憲夫作曲
けふのうちに
とほくへいつてしまふわたくしのいもうとよ
みぞれがふつておもてはへんにあかるいのだ
(あめゆじゆとてちてけんじや)
うすあかくいつそう陰惨(いんざん)な雲から
みぞれはびちよびちよふつてくる
(あめゆじゆとてちてけんじや)
青い蓴菜(じゆんさい)のもやうのついた
これらふたつのかけた陶椀(たうわん)に
おまへがたべるあめゆきをとらうとして
わたくしはまがつたてつぽうだまのやうに
このくらいみぞれのなかに飛びだした
(あめゆじゆとてちてけんじや)
蒼鉛(さうえん)いろの暗い雲から
みぞれはびちよびちよ沈んでくる
ああとし子
死ぬといふいまごろになつて
わたくしをいつしやうあかるくするために
こんなさつぱりした雪のひとわんを
おまへはわたくしにたのんだのだ
ありがたうわたくしのけなげないもうとよ
わたくしもまつすぐにすすんでいくから
(あめゆじゆとてちてけんじや)
はげしいはげしい熱やあえぎのあひだから
おまへはわたくしにたのんだのだ
銀河や太陽、気圏などとよばれたせかいの
そらからおちた雪のさいごのひとわんを……
…ふたきれのみかげせきざいに
みぞれはさびしくたまつてゐる
わたくしはそのうへにあぶなくたち
雪と水とのまつしろな二相系(にさうけい)をたもち
すきとほるつめたい雫にみちた
このつややかな松のえだから
わたくしのやさしいいもうとの
さいごのたべものをもらつていかう
わたしたちがいつしよにそだつてきたあひだ
みなれたちやわんのこの藍のもやうにも
もうけふおまへはわかれてしまふ
(Ora Orade Shitori egumo)
ほんたうにけふおまへはわかれてしまふ
あぁあのとざされた病室の
くらいびやうぶやかやのなかに
やさしくあをじろく燃えてゐる
わたくしのけなげないもうとよ
この雪はどこをえらばうにも
あんまりどこもまつしろなのだ
あんなおそろしいみだれたそらから
このうつくしい雪がきたのだ
(うまれでくるたて
こんどはこたにわりやのごとばかりで
くるしまなあよにうまれてくる)
おまへがたべるこのふたわんのゆきに
わたくしはいまこころからいのる
どうかこれが兜卒の天の食に変って
やがてはおまへとみんなとに
聖い資糧をもたらすことを
わたくしのすべてのさいはひをかけてねがふ
一文でも、一節でも思い出しましたか?
当時合唱部顧問のほしな先生の指揮。「わかれてしまう しまう しまう しまう Oraorade shitori…」のところ、先生の指揮が特に記憶があります。この曲をピアノで伴奏してくれた いちしま先生に去年会ったんだけど、「方舟とか永訣とか、当時はすごい曲やってたよね」と仰っていました。たしかに、高校生で歌い上げるにはなかなか難しそうな、技量は高く内容は濃く、曲は弾力的に表情を変えて、ボリュームのある・・・(うまく表現できなくてごめんなさい)壮大な曲ですね。
高1の定演、右も左もわからずバッタバタで、もちろん「永訣の朝」も遠い記憶だったのですが。偶然にも大学で手伝っていたグリークラブが過去に「永訣の朝」男声合唱版の改訂初演(1991年)をしていたということもあって、当時の音源や楽譜本をもらったり、大学の卒業記念に冒頭のピアノ6小節だけ弾き込んだとか、何かと縁と想い入れのある「永訣の朝」です。初めて男声合唱の音源を聴いた時はその歌詞を目の前に、荘厳な曲調とあまりにも哀しい詩に涙が止まらないものでした。
混声・男声それぞれに魅力があります「永訣の朝」/「定価1,030円(本体1,000円)」とあるあたり、時代を感じますね。
実は先月、埼玉へこの「永訣の朝」の男声合唱の演奏会を観に行こうと思っていたのですが、どうしても都合がつかず断念、残念。そこであらためて調べてみたら、今年8月に東京で混声合唱曲「永訣の朝」の演奏会があるようです。
◆大久保混声合唱団 第39回定期演奏会
ご興味ある方は、ぜひ!
歌でも楽器でも、記憶にある「旋律」とは不思議なもので、その旋律を聴くと蘇る想い出もあれば 新たな発見もあります。そんな機会があることは、ありがたいことですね。
演奏会の帰り、三越前のバス停からNEXT21と空/伝説の「立見客」(音文より客席数が少なかったからだけど)まで出た高3定演の会場はここでしたね。